2024年9月20日金曜日

新型コロナの新たな変異株「XEC」

 新型コロナの新たな変異株「XEC」が世界で急速に広がる 新たな流行に?

https://forbesjapan.com/articles/detail/73780

(2024.9.19)

新たな変異株「XEC」。これは、世界各地に広がって注目を集めつつある新型コロナウイルスの最新の変異株なのだ。

いわゆる「コロナの夏」のあと、人々が関心を寄せているのは、XECがこの秋あるいは冬の初めに、次の感染拡大に拍車をかけることになるのか、という点だろう。


2024年の夏が米国でコロナの夏と呼ばれたのは、感染者が2022年7月以降で最も急増したとみられるためだ。

これは米疾病対策センター(CDC)の下水データに基づいている。

現在、実際の感染者数を推定するうえで頼りになるデータは下水データしかない。いまでは検査を受ける人が少なくなっていて、検査を受けた人でも結果を報告しないことはよくあるので、報告される感染者数は基本的に実際の感染者数よりもかなり少ないはずだ。


この夏の感染者急増は、「FLiRT」と通称される変異株、とりわけ「KP.3.1.1」と「KP.3」によって引き起こされた。

感染予防対策をとる人が少なくなっていることも感染拡大の要因になったと考えられる。たとえば、人が集まる場所でマスクを着用する人はかなり減っている。

N95マスクは新型コロナウイルスの伝染を抑制できると研究ではっきり示されているのだが、マスク着用はもはやすたれつつあるようだ。


新型コロナの出現から5年たちながら、米国には感染がどこでどのように拡大しているのかをより正確に追跡できる、信頼できる監視システムがない。

(わが国はもちろんのことですが、諸外国の現状をよく知りませんでした。経済を回すために、故意にサーベイを緩めている感は否定できません)


確かなのは、新型コロナはなくなっていないということである。

パンデミック(世界的大流行)の最初の2年間に比べると、大半の人はワクチン接種や以前の感染で免疫ができているので、重症化リスクは大幅に下がっている。

それでも入院者はなお出ているし、罹患後、後遺症が長引く「長期コロナ(Long COVID)」の症状を呈するリスクもある。


新型コロナウイルスは変異を繰り返してもいる。

その結果、新たな変異株が次々に出現している。

これらの変異株には、そこまで注意を払わなくてよいものも多い一方で、数カ月ごとに、注意を払うべき変異株が現れてくる。

その最新例がXECだ。

XECは変異株の「KS.1.1」と「KP.3.3」の「子ども」にあたり、これもまたオミクロン株系統の変異株だ。

なんと、オミクロン株系統の変異ウイルスへの感染は2021年11月下旬からずっと続いている。


XECは6月にドイツのベルリンで初めて検出された。

その後世界に広がり、これまでに欧州や北米、アジアの27カ国で確認されている。

米国の、ある医療研究機関のウェブサイトによれば、米国では9月4日時点で12州で検出されている(日本では未検出)。

米国では現時点で支配的な変異株になっていないものの、現在拡散しているほかの変異株よりも適応性が高いようだ。


適応性が高いというのは、XECはほかの変異株よりも急速に、あるいは容易に広がる可能性があるということだ。

理由はまだわかっていない。

XECは感染者からの排出量が多いのかもしれないし、細胞内に取り込まれやすいのかもしれない。

あるいは、ワクチン接種や以前の感染による免疫防御を回避するのに長けているのかもしれない。


これらを検証するにはさらにデータと研究が必要になる。

とはいえ、XECは実際にほかの変異株よりもかなり急速に広まっているとみられ、それはこの変異株に適応面で優位性があることを示唆する。


XECが現在あるいは以前のほかの変異株に比べて、重篤な症状やアウトカム(治療後の経過・結果)を招きやすいのかを判断するのにも、やはりデータや研究がもっと必要になる。ただ、現状よりも広範な検査や実施され、より包括的な監視システムが整わないかぎり、この判断は難しそうだ。


現在入手できる最新のワクチンがターゲットにしている変異株は、ファイザー製とモデルナ製では「KP.2」、ノババックス製では「JN.1」となっている。

XECも今年流行した両変異株と無縁ではないので、これらのワクチンはXECに対してもある程度の防御を提供してくれるだろう。

裏を返せば、どのくらい有効かは現時点では不明だということでもある。


XECが主流になるのか、それとも別の新たな変異株がそうなるのかも見通せないが、いずれにせよ向こう数カ月のうちに新たな感染拡大が起こる可能性はかなり高い。

過去数年、冬季の流行は11月中旬に始まっているからだ。

11月には気温がぐっと下がり、空気もかなり乾燥し、屋内の活動が増えてくるので、それも当然だろう。

米国は感謝祭(11月第4木曜日)前後から年末年始の旅行シーズンに入るので、これもウイルスの蔓延に拍車をかけている可能性がある。


ただし、11月までは新型コロナウイルスの活動が活発化しないと想定するのもよくないだろう。

より信頼性が高く包括的な監視システムがないことに加え、11月の選挙を前に政治家たちがコロナという言葉を避けている可能性もあるから、次の感染拡大の前に事前の警告はないと思っておくべきかもしれない。

新型コロナにかかったり、その後遺症が長引いたりするのを避けたい人は、XECにしっかり注意を払い、予防対策を講じるようにしたい。

(版権 Japan Forbes、一部改変)

2024年9月18日水曜日

タバコを喫わないのに肺がん

タバコを喫わないのに肺がん

https://www.healthcare.omron.co.jp/resource/column/life/100.html

増えている肺腺がん

肺がんは現在、多くのがんのなかで男性では死亡原因の第1位、女性では第2位。

ほかのがん(胃がんなど)と比較すると、発見が遅れがちで死亡率も高く、その対策(早期発見、予防)が重視されている。


肺がんの原因といえば、だれもがタバコ(喫煙)を第一にあげるが、最近は、タバコを喫わないのに肺がんになるケースが増えていて、「どうして私が肺がんに!」と驚く方が少なくない。

じつは肺がんには、喫煙の影響が非常に大きいタイプ(扁平上皮がんなど)と、影響はあるもののそれほど大きくないタイプ(肺腺がんなど)とがあるのだ。

(注)肺がんのタイプ(組織型)は、小細胞がんと非小細胞がんに大別される。非小細胞がんはさらに、腺がん、扁平上皮がん、大細胞がんなどに分類される。このうち腺がんは現在、発症数で第1位、扁平上皮がんは第2位となっている。


喫煙による肺がんの発症リスクは、タバコを喫わない人と比較して男性で4~5倍、女性で3倍程度とされている。

ところが、扁平上皮がんに限定すると、男女ともにリスクは10倍以上。

それに対して肺腺がんでは、男性で2~2.5倍、女性で1.5倍程度。同じ肺がんでも、タイプによって喫煙の影響には大きな差がある。

男性の喫煙者の減少により、扁平上皮がんは減りつつある。

しかし、反対に肺腺がんは増加し、すでに男性の肺がんの40%、女性の70%に及んでいる。

(注)扁平上皮がんの場合は男性の40%、女性の15%。小細胞がんは全体の15%、大細胞がんは5%程度を占めています。


その結果、タバコを喫わないのに肺がん(肺腺がん)というケースが、多くなっている。

では、肺腺がんとはどんな病気で、原因は何なのだろうか。


肺腺がんの早期発見

息を吸うと、空気はノドから気管支を通り、肺に入る。

肺の中には細い気管支が木の枝のように広がっていて、その末端にある肺胞という部分で、二酸化炭素と酸素の入れ替えがおこなわれる。

肺腺がんは、その肺胞のある末端部付近にできるがんだ。

(注)肺腺がんは、肺の奥の粘液などを分泌する細胞(組織)にできる。一方、喫煙の影響を受けやすい扁平上皮がんは、肺の入り口付近の細胞(組織)にできやすい。


一般に肺がんの症状といえば、咳と痰が代表的なもので、さらに息切れ、血痰(血の混じった痰)、胸痛、ゼーゼーいう呼吸音などがよく知られている。

ところが肺腺がんは、肺の奥深くにできるため、初期には咳や痰などの症状がなかなか出ない。

あるときいきなり血痰が出て、驚いて検査を受けると、すでにかなり進行していた、というケースが少なくない。

なかには脳や骨に転移し、頭痛や腰痛、背中痛などがひどくなって検査を受け、発見されることもある。

その一方で、胸部レントゲン検査で見つかることもあるので、早期発見のためにはまず定期的に健康診断を受けることが大切だ。

また、CT検査(X線断層撮影)では、肺腺がんはガラス様陰影(曇りガラスのような影)となって見える。

咳や痰などの症状がなくても、息切れや胸痛などがある場合には、早めにCT検査を受ける必要がある。

(注)肺腺がんは、肺の奥の粘液などを分泌する細胞(組織)にできる。一方、喫煙の影響を受けやすい扁平上皮がんは、肺の入り口付近の細胞(組織)にできやすい。


原因の1つは女性ホルモン

肺腺がんの場合、喫煙も原因の1つだが、扁平上皮がんほど大きな影響はない。

では、喫煙以外の原因とは、何なのだろうか。

近年のさまざまな調査研究から、「女性ホルモン」と「汚染大気」の2つが有力視されています。

女性ホルモン(エストロゲン)については、月経期間の長い(初潮が早く、閉経が遅い)女性や、エストロゲン補充療法を受けた女性に、肺がんの発症率が高いことが以前から報告されていた。

このことからエストロゲンの影響についての研究が進められ、現在ではエストロゲンの体内合成にかかわる遺伝子と、肺がん(とくに肺腺がん)との関係や発症の仕組みが解明されつつある。

(注)国立がん研究センター研究所などによる遺伝子解析から、CYP19A1遺伝子の多型がエストロゲンの量に個人差をもたらすこと、また、エストロゲンが、肺腺がんの前駆(前段階)とされる細気管支肺胞上皮がんの発生に影響を及ぼすことがわかってきている。


その結果、エストロゲンの量や濃度が、肺腺がんのリスクを高める要因の1つであると考えられている。

また、タバコを喫わない女性に、エストロゲンの影響が大きい傾向がみられることも指摘されている。

エストロゲンは高脂血症や高血圧の予防にも役立つ大切な女性ホルモンだが、その一方で、月経期間の長い女性やエストロゲン補充療法を受けた(受けている)女性の場合は、エストロゲン濃度が高くなる機会が増え、量も多くなる。

それだけ肺腺がんのリスクも高くなることを忘れずに、定期的にCT検査を受けるようにしよう(ちなみに男性の体内でもエストロゲンは合成されているが、その影響についてはまだ不明)。


空気中の汚染物質にも注意を

肺腺がんのもう1つの原因と推定されるのが汚染大気だ。

呼吸するたびに、空気中にあるさまざまな有害物質(細菌やウイルス、自動車の排気ガス、タバコの煙、工場の煤煙など)を吸い込んでいる。

肺の末端にある肺胞では、白血球の一種である肺胞マクロファージが有害物質を感知し、除去している。

この防御システムによって、肺胞の機能が守られている。

しかし、肺胞マクロファージが有害物質を取り除くとき、活性酸素が発生する。


活性酸素は細菌などの除去に役立っているが、大量に発生すると正常な細胞まで傷つけてしまう。

その結果、肺胞付近の細胞にがんが発生するリスクが高くなる。

吸い込む有害物質が多くなれば、それだけ肺胞マクロファージの出番が増え、活性酸素の発生量も増える。

大都市や工業化の進んだ都市に、肺腺がんの発生率が高いとされるのは、空気中の有害物質に触れる機会が多いからだ。


予防のためには、できるだけ空気中の有害物質を体内に入れないように注意する必要がある。

「風邪など呼吸器系の病気に気をつける」、「ウォーキングやジョギングは排気ガスの多い幹線道路沿いを避け、公園・緑地などを利用する」、「受動喫煙(ほかの人のタバコの煙)を避ける」などを心がけよう。


毎日の食事に大豆食品を

エストロゲンが肺腺がんに影響を与えることから、化学構造が似ていて、大豆食品に多くふくまれるイソフラボンの働きが注目されている。

イソフラボンを多くとると、エストロゲン作用が増加するように思えるが、肺がんについては不思議なことにその反対なのだ。

国立がん研究センターの調査によれば、タバコを喫わない男性の場合、イソフラボン摂取量が多いほど肺がん発症リスクが低くなることが判明している。

(注)2010年に発表された国立がん研究センターによる多目的コホート研究の1つで、45~74歳の男女約7万6000人を対象とした調査。この調査では肺腺がんに限定せず、肺がんを対象としている

また、欧米では、果実や野菜にも予防効果があるとする調査結果もみられるが、日本の調査では果実や野菜の効果は確認されず、国立がん研究センターによる別の調査では「果実にその可能性がある」とだけしている。


イソフラボン摂取量がもっとも多いグループ(平均値で1日当たり48㎎)は、もっとも少ないグループ(平均値で1日当たり9mg)と比較して、肺がん発症リスクが半分以下(約43%)と、はっきりとした予防効果がみられる。

また、タバコを喫わない女性の場合には、男性ほど顕著ではないものの、やはりイソフラボン摂取量が多いほど肺がんの発症リスクは減少する(摂取量がもっとも多いグループの発症リスクは、もっとも少ないグループの約67%)。

ちなみにこの報告では、イソフラボン12mgは豆腐で40g、納豆で3分の1パックに相当する量としている。

もっとも多いグループは、毎日その4倍を食べている計算になる。


その一方で、喫煙者の場合には、イソフラボン摂取の効果はみられない。

これらのことから、予防のためにはまず禁煙すること。

そして、イソフラボンをふくむ食べ物を多くとることが大切だといえる。

イソフラボンの多い大豆食品には、豆腐や納豆のほか、大豆の煮豆、湯葉、豆乳、おから(うの花)などがある。

毎日しっかり食べるようにしよう。


https://www.healthcare.omron.co.jp/resource/column/life/100.html

(版権 OMRON、一部改変) 

非喫煙者に肺がんと関連する肺結節所見 その解釈

 非喫煙者の42%に肺がんと関連する肺結節所見

https://dime.jp/genre/1841772/

関連する可能性のある肺結節が1つ以上認められたことが報告された。非喫煙者の肺がんリスクは、通常は低いと考えられている。


著者は、「この数字は予想以上に高く、喫煙者のハイリスク集団で報告されている肺結節の発生率に近いものだった」という。

(「Radiology」に8月13日掲載)


研究グループの説明によると、胸部CT検査で肺結節が見つかるのは珍しいことではなく、肺がんの高リスク集団においては初期肺がんの兆候である可能性が高い。


また、肺結節の発生率とサイズに関する過去の研究の大半は、ヘビースモーカーの肺がん検診データに基づくものであり、現在の肺結節の管理に関する推奨のほとんどもこの集団をベースにしている。

そのため、低リスク集団において肺結節が見つかった場合に現在のガイドラインに準拠すると、不必要な追加検査の実施につながる恐れもあるという。


今回の研究では、45歳以上の非喫煙者1万431人(平均年齢60.4歳、女性56.6%、喫煙未経験者46.1%、元喫煙者53.9%)を対象に、肺結節の発生率とサイズの分布を年齢と性別ごとに調査した。


結果

・対象者の42.0%に1つ以上の肺結節が確認され、この割合は年齢とともに上昇することが明らかになった。


・また、臨床的に意味のある肺結節(結節サイズが6~8mm以上)が認められた対象者の割合は11.1%で、この割合も年齢とともに上昇していた。


・男性の方が女性よりも肺結節が見つかる確率と複数の結節を持っている確率が高い。


・これらの肺結節のほとんどは、がんではなかった。

これらの非喫煙者での肺がん発症率は0.3%と極めて低く、発見された臨床的に意味のある結節や対応が必要とされる結節のほとんどが良性であることを示唆している。

それでも、これらの結節が見つかった場合には、現行のがん検診ガイドラインに従った追加検査と診察が必要となる(必要となってしまう)。


・研究グループは、欧米諸国では喫煙者が減少傾向にあることに言及した上で、「肺がん検診のガイドラインを更新することが重要だ」との考えを示している。


・このような喫煙者の減少傾向を考えると、非喫煙者の肺結節に関する基礎的かつ包括的なデータを提供した今回の研究結果は重要となる。


・なお、米国肺協会(ALA)によると、肺結節はがん以外にも、大気汚染、関節リウマチのような慢性炎症性疾患、結核のような感染症によっても引き起こされる。

また、非喫煙者の肺結節は、健康診断などでX線検査やCT検査を受けたときに偶然、発見されることが多いという。

(HealthDay News 2024年8月13日)

版権 HealthDay(一部改変)

2024年9月11日水曜日

肺NTM症の患者増加

肺NTM症の患者増加で専門外来を圧迫、非専門医も介入する時代に

https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/t335/202409/585614.html?n_cid=nbpnmo_mled_html-new-arrivals

(要ログイン 版権 日経メディカル)

肺非結核性抗酸菌症(肺NTM症)の患者が急増している。

肺NTM症は、治療期間が年単位と長く、その後も定期的なフォローアップが欠かせない。


肺NTM症は、結核菌とらい菌以外の抗酸菌を原因とする肺感染症だ。

罹患率は10万人当たり14.7人で菌陽性肺結核の罹患率(同10.7人)を超えている(2014年の全国調査、2024年の調査は集計中)。

さらに、肺NTM症による2022年の年間死亡者数は2360人に上る。

結核による2023年の年間死亡者数1587人を抜き、現在、肺NTM症は呼吸器疾患を診る医師なら誰もが遭遇し得る疾患になっている。


肺NTM症は根治が難しく、治療によって自覚症状の改善、重症化の予防による長期予後の改善を目指すとされている。

初期症状は乏しく、胸部X線画像やCT画像で主に中葉・舌区に結節や空洞が見られることが特徴。

よくある自覚症状は咳や痰などで、これらの症状が持続している場合、すでに病気が進行している可能性がある。

さらに病状が進行すると、血痰や喀血、咳嗽、多発空洞や気胸に進展し、患者の生活に大きく影響する。


ただ、肺NTM症診療はこの10年ほどで大きく進歩しており、発症初期に適切な治療を行うことで、コントロールが可能になっている。


近年、難治性肺NTM症に対する新規治療薬であるアミカシンリポソーム吸入用懸濁液(商品名アリケイス)が登場し、2023年には「成人肺非結核性抗酸菌症化学療法に関する見解」も改訂。

新たな治療薬を含む診療の流れが提示された。


肺NTM症の約9割はMycobacterium avium complexが原因。

肺MAC症の治療は、空洞のない結節・気管支拡張型(重症は除く)、重症例、難治例、と病型によって異なるが、標準的な診療を例に診療のフローを整理すると、

(1)診断後、マクロライド系抗菌薬とエタンブトール(エサンブトール、エブトール)、リファンピシン(リファジン他)の3剤併用療法を数カ月実施(重症度に応じて他の抗菌薬の注射・吸入薬を併用、必要に応じて外科手術も検討)、

(2)喀痰培養検査による排菌陰性化確認後、1年~1年半治療を継続、

(3)治療終了後は定期的に胸部X線・胸部CT検査、喀痰培養検査、全身所見の確認などのフォローアップを実施──の3段階に分けられる。




<関連サイト>

肺MAC症の最新治療法とケア

https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/opinion/orgnl/202408/585071.html

(要ログイン)

急増する肺NTM症のギモンに答えます

https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/opinion/orgnl/202408/585069.html

(要ログイン)

肺MAC症の新薬アリケイス、処方時の注意点は

https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/blog/kurahara/202201/573169.html

(要ログイン)

成人肺非結核性抗酸菌症化学療法に関する見解 ― 2023年改訂 ―

https://www.kekkaku.gr.jp/wp-content/uploads/2023/06/876fc7b7e79db16bd4f10d91fc884e3c.pdf?_fsi=KTeR0srd&_fsi=DwxcH16N 

(要ログイン)

2024年9月8日日曜日

高齢のCKD患者、タンパク質制限は本当に必要?

 高齢のCKD患者、タンパク質制限は本当に必要?

https://www.carenet.com/news/general/carenet/59148?utm_source=m1&utm_medium=email&utm_campaign=2024082900

(要ログイン)

軽度または中等度の慢性腎臓病(CKD)を有する高齢者におけるタンパク質摂取量と全死亡率を調査した結果、タンパク質摂取量が多いほど死亡リスクが低く、タンパク質摂取の利点が欠点を上回る可能性があることを、スウェーデン・カロリンスカ研究所の研究グループが明らかにした。

(JAMA Network Open誌2024年8月1日号掲載)


結果と結論

高齢者を対象としたこのマルチコホート研究では、総タンパク質、動物性タンパク質、植物性タンパク質の摂取量が多いほど、CKD患者の死亡リスクが低いことが示された。

CKDを有さない人では関連性がより強く、軽度または中等度のCKDを有する高齢者ではタンパク質摂取の利点が欠点を上回る可能性があることを示唆している」


<関連サイト>

高齢者 CKD のための食事療法の現状と課題

https://www.jstage.jst.go.jp/article/geriatrics/55/3/55_55.352/_pdf/-char/ja

・CKD は透析予備軍であり、腎保護効果を期待し、高齢患者においても、0.8 g/kg・標準体重/日を目安にたんぱく質摂取制限が推奨されている。

・しかし、高齢 CKD 患者では、食事全体量が少なくなり、摂取エネルギー量が低下、体蛋白異化により低栄養が進行する場合も散見する。

・高齢 CKD 患者においては、CKD ステージ 4~5 であっても十分な余命が見込まれる場合においてのみ、現状の BMI を維持すべき十分なエネルギー量を確保した上で、たんぱく質の摂取量を考慮する必要がある。

<コメント>

「十分な余命が見込まれる場合においてのみ」に続く「たんぱく質の摂取量を考慮する」ということは、高齢者CKDにおける「たんぱく質摂取制限」の効果を認めている、ということなのでしょうか。


高齢慢性腎臓病患者の食事療法

https://www.jstage.jst.go.jp/article/geriatrics/54/1/54_54.1/_pdf


高齢者 CKD 食事療法(学術記事)

https://scholar.google.co.jp/scholar?hl=ja&as_sdt=0%2C5&as_vis=1&q=%E9%AB%98%E9%BD%A2%E8%80%85+ckd+%E9%A3%9F%E4%BA%8B%E7%99%82%E6%B3%95&oq=%E9%AB%98%E9%BD%A2%E8%80%85+ckd+%E9%A3%9F%E4%BA%8B%E7%99%82%E6%B3%95


サルコペニア・フレイルを合併した 保存期 CKD の食事療法の提言

https://cdn.jsn.or.jp/data/CKD20190909.pdf


高齢者CKD

https://jsn.or.jp/guideline/pdf/CKD_evidence2013/pc20.pdf


慢性腎臓病の食事療法

https://www.twmu.ac.jp/NEP/shokujiryouhou.html


慢性腎臓病(CKD) 患者さんのための 食事療法手引き

https://www2.khsc.or.jp/wp-content/uploads/2021/05/%E6%85%A2%E6%80%A7%E8%85%8E%E8%87%93%E7%97%85CKD%E6%82%A3%E8%80%85%E3%81%95%E3%82%93%E3%81%AE%E3%81%9F%E3%82%81%E3%81%AE%E9%A3%9F%E4%BA%8B%E7%99%82%E6%B3%95%E3%81%AE%E6%89%8B%E5%BC%95%E3%81%8D-2.pdf


慢性腎臓病(CKD)

https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586595.pdf

2024年9月6日金曜日

日本人は身長が高いと脳血管死亡リスク低い

日本人は身長が高いと脳血管死亡リスク低い~JPHC研究

https://www.carenet.com/news/general/carenet/46018

成人の身長と死亡リスクの関連が以前の研究で示唆されているが、日本人における身長と全死因死亡率・疾患別死亡率との包括的な関連は不明である。

今回、わが国の前向きコホート研究(JPHC研究)で評価したところ、成人での身長が高いと、男女共に脳血管疾患死亡リスクが低く、逆に男性のがん死亡リスクが高いことが示唆された。 

高身長とがんリスク ~ 東アジア人での関連

高身長とがんリスク ~ 東アジア人での関連

https://www.carenet.com/news/general/carenet/59132?keiro=com_left_ranking

身長とがんリスクの関連が示唆されているが、ほとんどの研究は欧米人を対象としておりアジア人を対象とした研究は少ない。

今回、中国の研究グループが中国人の前向きコホートで解析したところ、高身長ががん全体、肺がん、食道がん、乳がん、子宮頸がんのリスクと有意に関連していた。

さらに、中国・日本・韓国のデータを用いたメンデルランダム化解析により、高身長が肺がんおよび胃がんのリスク因子である可能性が示唆された。

2024年9月3日火曜日

コロナ重症化に関与するHLA遺伝子型を発見

 コロナ重症化に関与するHLA遺伝子型を発見 日本人患者209例を対象とした解析

https://medical-tribune.co.jp/news/articles/?blogid=7&entryid=564211

(要ログイン)

感染に対する免疫応答において重要な役割を担うヒト白血球抗原(HLA)は、肺結核などの呼吸器感染症との関連は報告されているが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)については十分に研究されていない。

横浜市立大学大学院呼吸器病学教室の田中克志氏らは、日本人COVID-19患者209例を対象に遺伝子解析を実施。

COVID-19の重症度と有意な相関を示す2つのHLA遺伝子型を発見したと、HLA(2024; 104: e15609)に発表した。


結論;

・HLA-DQA1*01:03とHLA-DQB1*06:01のHLA遺伝子型がCOVID-19の重症化に関与することが示唆された。

・今回の研究結果がCOVID-19の重症化リスクを予測するためのバイオマーカーとなり、予防や治療戦略の確立に寄与することが期待される。