2024年9月20日金曜日

新型コロナの新たな変異株「XEC」

 新型コロナの新たな変異株「XEC」が世界で急速に広がる 新たな流行に?

https://forbesjapan.com/articles/detail/73780

(2024.9.19)

新たな変異株「XEC」。これは、世界各地に広がって注目を集めつつある新型コロナウイルスの最新の変異株なのだ。

いわゆる「コロナの夏」のあと、人々が関心を寄せているのは、XECがこの秋あるいは冬の初めに、次の感染拡大に拍車をかけることになるのか、という点だろう。


2024年の夏が米国でコロナの夏と呼ばれたのは、感染者が2022年7月以降で最も急増したとみられるためだ。

これは米疾病対策センター(CDC)の下水データに基づいている。

現在、実際の感染者数を推定するうえで頼りになるデータは下水データしかない。いまでは検査を受ける人が少なくなっていて、検査を受けた人でも結果を報告しないことはよくあるので、報告される感染者数は基本的に実際の感染者数よりもかなり少ないはずだ。


この夏の感染者急増は、「FLiRT」と通称される変異株、とりわけ「KP.3.1.1」と「KP.3」によって引き起こされた。

感染予防対策をとる人が少なくなっていることも感染拡大の要因になったと考えられる。たとえば、人が集まる場所でマスクを着用する人はかなり減っている。

N95マスクは新型コロナウイルスの伝染を抑制できると研究ではっきり示されているのだが、マスク着用はもはやすたれつつあるようだ。


新型コロナの出現から5年たちながら、米国には感染がどこでどのように拡大しているのかをより正確に追跡できる、信頼できる監視システムがない。

(わが国はもちろんのことですが、諸外国の現状をよく知りませんでした。経済を回すために、故意にサーベイを緩めている感は否定できません)


確かなのは、新型コロナはなくなっていないということである。

パンデミック(世界的大流行)の最初の2年間に比べると、大半の人はワクチン接種や以前の感染で免疫ができているので、重症化リスクは大幅に下がっている。

それでも入院者はなお出ているし、罹患後、後遺症が長引く「長期コロナ(Long COVID)」の症状を呈するリスクもある。


新型コロナウイルスは変異を繰り返してもいる。

その結果、新たな変異株が次々に出現している。

これらの変異株には、そこまで注意を払わなくてよいものも多い一方で、数カ月ごとに、注意を払うべき変異株が現れてくる。

その最新例がXECだ。

XECは変異株の「KS.1.1」と「KP.3.3」の「子ども」にあたり、これもまたオミクロン株系統の変異株だ。

なんと、オミクロン株系統の変異ウイルスへの感染は2021年11月下旬からずっと続いている。


XECは6月にドイツのベルリンで初めて検出された。

その後世界に広がり、これまでに欧州や北米、アジアの27カ国で確認されている。

米国の、ある医療研究機関のウェブサイトによれば、米国では9月4日時点で12州で検出されている(日本では未検出)。

米国では現時点で支配的な変異株になっていないものの、現在拡散しているほかの変異株よりも適応性が高いようだ。


適応性が高いというのは、XECはほかの変異株よりも急速に、あるいは容易に広がる可能性があるということだ。

理由はまだわかっていない。

XECは感染者からの排出量が多いのかもしれないし、細胞内に取り込まれやすいのかもしれない。

あるいは、ワクチン接種や以前の感染による免疫防御を回避するのに長けているのかもしれない。


これらを検証するにはさらにデータと研究が必要になる。

とはいえ、XECは実際にほかの変異株よりもかなり急速に広まっているとみられ、それはこの変異株に適応面で優位性があることを示唆する。


XECが現在あるいは以前のほかの変異株に比べて、重篤な症状やアウトカム(治療後の経過・結果)を招きやすいのかを判断するのにも、やはりデータや研究がもっと必要になる。ただ、現状よりも広範な検査や実施され、より包括的な監視システムが整わないかぎり、この判断は難しそうだ。


現在入手できる最新のワクチンがターゲットにしている変異株は、ファイザー製とモデルナ製では「KP.2」、ノババックス製では「JN.1」となっている。

XECも今年流行した両変異株と無縁ではないので、これらのワクチンはXECに対してもある程度の防御を提供してくれるだろう。

裏を返せば、どのくらい有効かは現時点では不明だということでもある。


XECが主流になるのか、それとも別の新たな変異株がそうなるのかも見通せないが、いずれにせよ向こう数カ月のうちに新たな感染拡大が起こる可能性はかなり高い。

過去数年、冬季の流行は11月中旬に始まっているからだ。

11月には気温がぐっと下がり、空気もかなり乾燥し、屋内の活動が増えてくるので、それも当然だろう。

米国は感謝祭(11月第4木曜日)前後から年末年始の旅行シーズンに入るので、これもウイルスの蔓延に拍車をかけている可能性がある。


ただし、11月までは新型コロナウイルスの活動が活発化しないと想定するのもよくないだろう。

より信頼性が高く包括的な監視システムがないことに加え、11月の選挙を前に政治家たちがコロナという言葉を避けている可能性もあるから、次の感染拡大の前に事前の警告はないと思っておくべきかもしれない。

新型コロナにかかったり、その後遺症が長引いたりするのを避けたい人は、XECにしっかり注意を払い、予防対策を講じるようにしたい。

(版権 Japan Forbes、一部改変)

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