高齢者への低用量アスピリン、中止すると…?
高齢者への低用量アスピリン、中止すると…?https://www.carenet.com/news/general/carenet/59104?utm_source=m29&utm_medium=email&utm_campaign=2024081906
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心血管疾患(CVD)を有さない高齢者において、低用量アスピリンはCVDリスクを低下させず、全死亡や大出血のリスクを上昇させたことが報告されているが、すでに多くの高齢者に低用量アスピリンが投与されている。
そこで、オーストラリアの研究グループは、アスピリン中止の安全性を明らかにすることを目的として、CVDを有さない高齢者において、低用量アスピリン中止がCVDリスクに与える影響を検討した。
その結果、低用量アスピリン中止はCVDリスクを上昇させず、大出血リスクを低下させることが示された。
(BMC Medicine誌 2024.7.29)
本研究は、CVDを有さない70歳以上(一部65歳以上を含む)の高齢者を対象として低用量アスピリンの有用性を検討した「ASPREE試験」の参加者のデータについて、target trial emulationの手法を用いて後ろ向きに解析した。ASPREE試験でアスピリンが投与された参加者について、アスピリンを中止した群(中止群:5,427例)、継続した群(継続群:676例)に分類して比較した。
主要評価項目はCVD、主要心血管イベント(MACE)、全死亡、大出血とし、Cox比例ハザードモデルを用いて、3、6、12、48ヵ月のフォローアップ期間におけるハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)を推定した。
HRおよび95%CIの推定の際には、傾向スコアによる調整を行った。
本研究において、中止群では、短期(3ヵ月後)および長期(48ヵ月後)におけるCVD、MACE、全死亡のリスクの有意な上昇はみられなかった。
一方、12ヵ月後の全死亡および3、12、48ヵ月後の大出血のリスクは有意に低下した。
傾向スコアによる調整後の中止群の継続群に対するHR、95%CI、p値は以下のとおり。
本研究結果について著者らは、3~12ヵ月後におけるイベント数が少なかったことや、継続群は研究開始時点のCVDリスクが高かった可能性があることなどの限界を指摘しつつも「高齢者において、低用量アスピリンを中止してもCVDや全死亡のリスクの上昇はみられなかった。また、低用量アスピリンの中止によって、大出血リスクが低下するため、とくにCVDを有さない70歳以上の高齢者において、アスピリンの処方中止が安全である可能性があると考えられる」とまとめた。
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