血中BNPとNT-proBNP
血中BNPとNT-proBNP
https://www.asas.or.jp/jhfs/topics/bnp201300403.html?_fsi=iJwAe06A
BNPとNT-proBNPについて
BNPとNT-proBNP生成は同じBNP遺伝子に由来する。
BNP遺伝子からは、転写・翻訳後、BNP前駆体(proBNP[1-108])が生成され、その後、生理的に非活性のNT-proBNP(proBNPのN端から76個のアミノ酸[1-76])と生理活性を有する成熟型BNP(残りの32個のアミノ酸[77-108])に切断される。
つまり、BNPとNT-proBNPは心筋から等モルで分泌されている。
BNPやNT-proBNPは、主として心室にて、壁応力(伸展ストレス)に応じて遺伝子発現が亢進し、速やかに生成・分泌される。
従って、壁応力が増大する心不全では、その重症度に応じて血中濃度が増加する。
両ペプチドとも心室のみならず心房からも10%ほど分泌される。
そのため、心房細動などでも軽度上昇する。
心筋へのストレス以外にも、両ペプチドの血中濃度に影響を与える因子がある。
例えば、BNP、NT-proBNPともに腎機能の低下に合わせて血中濃度が上昇する。
特にNT-proBNPはその代謝の殆どが腎臓からの濾過による排泄に依存しているために軽度の腎機能低下でも影響を受け、eGFR30ml/min/1.73m2未満の症例では増加の程度が大きくなる。
また、高齢者でも一般に両ペプチドとも血中濃度が上昇する。
さらに、急性炎症でも高い値を示すことがある。
逆に、肥満者では非肥満者より両ペプチドとも低値を示す。
従って、今回のステートメントに使用されている数値の解釈をする場合にはこれらの因子に配慮することも必要だ。
両ペプチドの測定にあたっては、BNPは血漿を用い、NT-proBNPは血清または血漿を用いる。
(版権 「日本心不全学会」一部改変)
参考
<BNPとNT-proBNPの違いについて>
NT-proBNPは「血清」で検査が可能であり、また、採血後の検体の安定性に優れ、生化学検査と同一の採血管で依頼が可能などの運用面での有用性がある。
また、BNPと異なりNT-proBNPは代謝経路が腎臓のみであることから、糸球体濾過値の低下と共にBNP以上に上昇することから、心機能のみならず腎機能も併せて評価する心腎関連マーカーとして注目されている。
コメント;
両方の影響を受けるということは、心機能と腎機能を峻別して評価できないということでもあります。
どう考えてもBNPに分がありそうです。
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