2025年3月9日日曜日

胃カメラによる早期膵臓癌の検出

胃カメラ中に採取した膵液のKRAS遺伝子変異検査が切除可能な早期膵臓癌の検出に有用な可能

https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/cancernavi/news/202502/587753.html

・胃カメラ(上部消化管内視鏡)検査中に採取した膵液を用いて、膵臓癌に多くみられるKRAS(ケーラス)遺伝子変異の変異量を調べることが、切除可能な早期膵臓癌の検出に有用である可能性が大阪大学から発表された。国内多施設共同で行われた、特定臨床研究の結果から明らかになった。まずは膵癌家族歴のある人などの膵臓癌ハイリスク者を対象として胃癌検診に組み込み、スクリーニングを行うことを目指すという。

コメント;膵臓癌は国内で年約4万4千人が診断を受け4万人がなくなる。つまり、非常に死亡率の高いがんで難治性癌の筆頭とされ5年後の生存率は約10%にとどまります。


・早期検出が難しい膵臓癌においてKRAS遺伝子変異の検出が有効なことは知られていたが、どのような方法で検査を行えば良いかは明確になっていない。胃カメラ検査で得た膵液でKRAS遺伝子変異が検出できることが示されたことで、早期検出の可能性が高まりそうだ。

コメント;膵臓癌の約94%はKRAS遺伝子に変異があり、がんの存在を示す目印といわれています。血液などでは早期発見は難しいといわれていました。膵癌のほとんどが膵液の通り道である膵管の一部から発生します。


・ただし、実際に臨床で使うには残されている課題もある。膵液の分泌を促進することで検査を補助する合成ヒトセクレチンは、国内未承認。今回は特定臨床研究の枠組みで薬剤を用意したが、実用化には日本での承認と供給体制が必要になる。また、遺伝子検査の費用なども今後の検討課題になる。


・発表された特定臨床研究は、初診時に健常者だった75人と、初診時に手術適応となる膵臓癌だと診断された89人を合わせた164人を対象に国内の10施設で行われた。ヒト合成セクレチン0.2μg/kgを静脈投与して膵液の分泌を促した後、上部消化管内視鏡検査を開始。主膵管の出口である十二指腸乳頭部を生理食塩水で洗浄後、専用のカテーテル(S&Yチューブ、一般医療機器として製造販売承認取得済み)で膵液の含まれた十二指腸洗浄液を回収。十二指腸洗浄回収液を用いてKRAS遺伝子の変異量を測定した。KRAS遺伝子の変異量測定は、膵臓癌で高頻度に観察される4つのKRAS遺伝子変異パターン(KRAS G12D、KRAS G12V、KRAS G12R、KRAS G12C)をPCR法でまとめて行った。膵臓癌におけるKRAS変異パターンの約94%をカバーしているという。


・10万コピー当たりのKRAS遺伝子変異数を比較したところ、有意に手術を実施した早期膵臓癌の集団で、KRAS遺伝子の変異数が多かった。


・ROC曲線を用いて解析したところ、KRAS遺伝子変異の検査が他の2つに比べて有意に精度が高かった。


今後の予定として、尾道コホートなどを活用しつつ、5年を目安に実用化に踏み切りたいとしている。


 

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