陽性的中率が低い、がんを調べる線虫検査
がんを調べる線虫検査…多施設調査で分かった陽性的中率の低さ
https://news.yahoo.co.jp/articles/75d81ddcd749eec61692f7a4fe87a4532317cd83
(2024.12.21 )
中川恵一/東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授
(記事の内容は一部改変)
がんを調べる検査はさまざまだ。X線やCT、MRI、超音波などから、最近は血液や尿での手軽な検査を打ち出しているものも登場してる。
そんな中、線虫を用いたがん検査「N-NOSE」を巡って、多施設調査の結果が発表された。
N-NOSEは、線虫ががん患者の尿のにおいに反応する性質を利用し、早期から15種類のがんをA~Eの5段階にリスク判定する。「D~E」は「がんリスクが高い」とされるが、どの臓器かは分からないため、判定された人は別の病院などでCTやPETなどで再検査を受けることになる。
ところが、N-NOSEで高リスクでもPETでがんが見つからないことが相次ぎ、研究チームがPET検査と比較する全国調査を行い、その結果がまとまった。結論からいうと、N-NOSE高リスク判定者のうち15種類のがん発見数は10人で、「陽性的中率」は0.95%だった。
今回のPET検査はN-NOSEで高リスク判定を受けた人で、一般の集団よりがんリスクが高い人が集まっていると想定されるが、1%を下回る陽性的中率は低い数値で、その点を調査結果をまとめた論文でも指摘している。論文の結論は、検診としての有効性は限られるということだった。
それなのにN-NOSEを展開するHIROTSU社が「一次スクリーニングとしてのN-NOSEが有用である」と主張しており、大いに疑問が残る。むしろN-NOSEは、「本当はがんではないのに高リスクと診断した偽陽性」が大部分だったのだ。
調査に加わった日本核医学会PET核医学分科会も、HPでこのことを指摘し、「がんのスクリーニング検査には該当しないと考えられる」と好評した。
そして、論文では、「この調査結果は仮に線虫検査で高リスクと判定されても、必ずしも『担癌状態(体にがんがある状態)にあること』を意味しないことを再確認させる結果でもある」としている。
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