(ドクター用)『関節リウマチにおけるメトトレキサート(MTX)使用と診療の手引き2023年版』のポイント
(ドクター用)『関節リウマチにおけるメトトレキサート(MTX)使用と診療の手引き2023年版』のポイント
https://medical.cat.eisai.jp/clinician/vol71/no698/pdf/sp08_698.pdf
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関節リウマチ(RA)は「多様であるため、患者は作用機序の異なる複数の薬剤を必要とする。生涯を通じて、いくつもの治療を順番に必要とするかもしれない」と日本リウマチ学会のガイドラインに記戦されている。
治療薬としてわが国で承認されている従来型合成抗リウマチ薬(csDMARDs)は、2023年10月時点において12製剤である。ただし、国内のガイドラインで推奨されているのは、国内承認順に注射金製剤、ブシラミン、サラゾスルファピリジン(SASP)、メトトレキサート(MTX)、レフルノミド、タクロリムス、イグラチモドの7製剤である。
RA治療において、まずcsDMARDsで開始することが米国および欧州のリウマチ学会でも推奨されている。
その最大の理由は、csDMARDsの薬剤費用負担か小さいことによる。すなわち、治療薬の選択は有効佳・安全性・費用負担のバランスが最適となるように考慮すべきであり、csDMARDsの中で継続率、有効性・安全性を考慮するとMTXが第一選択薬となりやすい。
ただし、わが国では超高齢社会であり、禁忌に近いレベルの慎重投与や複数の慎重投与項目に該当する患者が少なくないことから、個々の患者のリスク・ベネフィットバランスに鑑みて第一選択薬としても第二選択薬以降としても使用可能としている。
投与禁忌事項の改訂
MTXの投与禁忌に妊娠、重症感染症、重大(高度)な血液・リンパ系や肝臓、腎臓、呼吸器な
どの障害を有する患者などが該当するため、MTXを開始する前に行うスクリーニング検査は、生物学的製剤やヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬と同様に必要であり、感染症においては、結核、肝炎ウイルス、そしてニューモシスチスを含めた真菌なども含まれる。しかしながら、軽度の間質性肺疾患や悪性腫瘍の合併がMTXの投与禁忌には該当しない。
そして今回の改訂で胸水・腹水は治療のための穿刺・排液を要する大量貯留のみが禁忌、それ以下の貯留は慎重投与となった。
さらに、高度な呼吸器障害の目安から呼吸機能検査による拘束性障害の存在は削除となり、より実臨床に即したものとなっている。
葉酸製剤の併用とMTX増量
葉酸製剤の併用がMTXの開始用量を問わず全てのMTX開始患者に推奨されたことは、今回の改訂における重要なポイントである。
*MTXの適正使用と安全性
MTXの適正使用のためには、適切なスクリーニングとモニタリングが不可欠であり、全ての患者に末梢血検査、生化学検査、免疫学的検査、炎症マーカー、尿一般検査に加えて、肝炎ウイルス検査、胸部および手足や罹患関節の単純X線検査、結核検査の実施を推奨している。MTX開始後の開始ま、モニタリングも多くの項目では、開始または増量後早期は2~4週毎、それ以降は4~12週毎となっている。
これらは、重篤副作用を可能な限り回避、または早期に発見するためのものであり、特に骨髄障害やリンパ増殖性疾患などの血液・リンパ系障害と、間質性肺疾患や呼吸器感染症などの呼吸器病変が重要である。
(東邦大学医学部 内科学講座膠原病学分野 亀田秀人教授)
CLINICIAN 2024 NO.698
関連サイト
(ドクター用) MTX使用の手引き
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